障害年金の基本

1.制度概要、年金額

障害年金は病気や怪我によって、生活や仕事などが制限されるようになった場合に受給することができる年金です。

年金というと65歳以上の方たちが受給できるイメージをお持ちかもしれませんが、障害年金は国民年金や厚生年金保険に加入している現役世代も受給可能です。

今の日本の年金制度は、「2階建て構成」・・・と言われています。

病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金保険に加入していた場合は「障害基礎年金」に加えて「障害厚生年金」を請求することができます。

なお、障害基礎年金では扶養する子供の数に応じて、障害厚生年金では配偶者がいた場合に、年金がさらに増額されるケースがあります。

また、障害基礎年金の金額は固定ですが、障害厚生年金の金額は被保険者のこれまでの収入に応じて金額が異なります。ご自身の障害年金の見込み額(等級が未定の段階ですが)を知りたい場合は、日本年金機構や社会保険労務士事務所へご相談ください。

障害年金受給の3要件

障害年金を受給するためには重要なポイントが3点ありますので、ここで整理をします。

(1)初診日要件

医療機関で初めて診察をする日、初診日において、国民年金または厚生年金保険の被保険者であるかが要件の一つです。

無職期間や会社員である期間等が混在している方にとっては、初診日の状況次第で受給できる障害年金に大きな影響が出てきます。もちろん、厚生年金保険に加入している時に初診日があった方が、受給できる年金は大きいことは容易に想像できます。

また、もともと保険料を納めていた方や、国民年金や厚生年金保険に加入する前の20歳未満時に初診日があるケース等も、条件によって対応は可能です。

保険料納付要件

一定の基準以上の保険料を納めてきたのか・・・という条件も付されています。病気や怪我になった際に慌てて保険料を納めても間に合いません。

やはり社会のセーフティーネットの恩恵を受けるためには保険料の納付をすることは大切だとご理解ください。

具体的には、初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることです。

ただし、初診日が令和8年4月1日前の場合、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たしていることになります。

一定の障害状態にある

障害認定日に障害の状態が障害等級に該当することを要件にしています。

※障害認定日:初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日、または1年6ヵ月以内にその傷病が治った場合はその日

障害年金の対象となる傷病については、日本年金機構のHPで「障害認定基準」としてご紹介されています。

(傷病は19節に渡って基準が設けられています)

日本年金機構に掲載されている障害認定基準をご覧いただくと、どの程度の症状が残存している場合に、どのくらいの認定に至るか・・・という基準を確認することができます。

認定に関する詳細な情報も掲載されているため、該当する傷病について障害年金申請をご検討されている場合は、こちらの障害認定基準をご確認されることを推奨します。

また、傷病というものは大変複雑であり、患者さまによっては複数の傷病をお持ちの方もいらっしゃいます。その場合は複数の障害を併合して認定したり、内科的疾患の併存している場合は総合的に判断したり等、様々な認定方法が定められています。

【参考】日本年金機構のHP「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html


申請方法

必要な資料を準備して、各機関へ提出することで障害年金認定の審査が始まります。

種類が多岐にわたっているため、都度都度、市区町村役場や年金事務所、社会保険労務士事務所等で相談をしながら、資料を整えていくことを推奨します。

また、障害年金の申請後、認定結果が届くまで3ヶ月〜半年近くの時間を要する傾向にありますので、提出後は認定結果が気になりますが、ゆっくりとお待ちください。


【必要な書類】※ご本人の状況、配偶者や子どもの有無等で、別途追加で資料が必要

年金請求書

②年金手帳(年金番号を確認するため)

③戸籍謄本、戸籍抄本、住民票等いずれか(ご本人の生年月日を明らかにできる書類)

④医師の診断書

⑤受診状況等証明書(初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合に、初診日の確認をする)

⑥病歴・就労状況等申立書

⑦受取先金融機関の通帳等


【提出先】

障害基礎年金、障害厚生年金(障害基礎年金を含む)の申請毎で、提出先が異なります。

①障害基礎年金

住所地の市区町村役場の窓口(例:市民部保険年金課、福祉健康部保険年金課等)

②障害厚生年金

年金事務所または街角の年金相談センター

※年金事務所/年金相談センターの検索方法(日本年金機構のHP)  

https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html

最後に

障害年金はセーフティーネットとして国民の生活を支える役割を担っています。

障害年金を受給することで、金銭的な観点だけでなく、精神的にも楽になり、日常生活や就労状況にも良い効果をもたらすことが期待されます。

また、ご家族や友人、同僚等、ご自身だけでなく、周りの方たちに対しても安心感を提供することにつながります。

今、傷病で辛い想いをされているのであれば、障害年金の申請をご検討ください。障害年金は申請しなければ受給することはできません。この講義をきっかけに、ひとりでも多くの方が行動し、適切な年金を受給できることを心から願っています。